自由研究 – 次世代超大型望遠鏡TMT THIRTY METER TELESCOPE

2020年代にハワイ、マウナケア山頂に完成予定の次世代超大型望遠鏡TMTをホニャプランは応援しています。492枚の分割鏡からなる30メートルの主鏡を持つ超大型望遠鏡です。ここでは、「Thirty Meter Telescope 次世代超大型望遠鏡TMT 1/250スケールぺーパークラフト」の組立説明書裏面の解説を元に、超大型望遠鏡TMTの紹介をしていきます。詳しく正確な情報が知りたい方は、国立天文台TMT推進室のホームページTMT 30 Questions、ギャラリー内の紹介パネルをおすすめします。またパンフレットと計画説明書も入手できます。TMT.orgも参照ください。TMT計画の現状について把握するには、こちらの動画をおすすめします。ペーパークラフトをくみたてながら、近未来の天文学を切り開く超大型望遠鏡の仕組みを学び、TMT計画を応援しましょう。

目次

  • TMT(Thirty Meter Telescope)とは?
  • 国際協力で日本の果たす役割
  • TMTでできること(切り開く新たな宇宙像)
  • TMT光学系の仕組み
  • TMTの初期観測装置
  • TMTの諸元
  • 主鏡が大きくても軽量、コンパクトに
  • 超大型望遠鏡を支えるテクノロジー
  • TMTの能力を極限まで引き出す補償光学
  • 塗り替えられていく「激動する宇宙」の姿

次世代超大型望遠鏡 TMT ペーパークラフト THIRTY METER TELESCOPE 1/250 3Dパズル

次世代超大型望遠鏡 TMT ペーパークラフト THIRTY METER TELESCOPE 1/250 3Dパズル [不明]

価格¥ 3,800

出版社honyaplan

商品カテゴリーおもちゃ&ホビー

特徴紙+スチレン製 A4サイズ12枚+ミラーパーツ / A2組立ガイド・解説つき, 組立式、のり不要, 2016年

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TMT(Thirty Meter Telescope)とは?

TMTは口径30メートルの主鏡を持つ「次世代超大型光学望遠鏡」です。日本、米国、カナダ、中国、インドの5カ国による国際協力で建設計画が進められています。また、2013年10月より本格的な観測を開始したアルマ天文台に続き、国立天文台が総力を挙げて取り組んでいく国際協力プロジェクトです。

TMTの建設予定地はハワイ島、マウナケア山。日本のすばる望遠鏡から1キロメートルほど離れた標高4050メートル地点での建設が予定されています。2020年代の観測開始を予定しており、総工費は約1500億円の見込みです。計画が実現すれば世界最大の光学望遠鏡となります。

国際協力で日本の果たす役割

日本はTMTの国際パートナーの一員として建設経費の約25%を担うことを目標にしており、国立天文台が主体となって計画を進めています。日本は「天文データ取得のための観測装置製作」及び「主鏡分割鏡の鏡材提供とその研磨」「望遠鏡本体構造の製作」を分担します。

観測装置、特に初期観測装置として予定されているものについて日本の担当が決まっているのは「近赤外線撮像分光装置(IRIS)」の撮像部で、現在技術開発と設計が進んでいます。また「広視野可視光撮像分光装置(WFOS)」のカメラ部分を担当することを前提として開発が行われています。さらに今後、第二期以降の観測装置についても、日本が主導して製作することを目指し、要素技術の開発を進めています。

また日本は国際パートナーの一員として主鏡分割鏡の鏡材を提供します。鏡材はその表面を研磨し、薄い金属膜でコーティングすることで、可視光から赤外線まで高い反射率をもつ鏡となります。現在世界の最先端で活躍する日本のすばる望遠鏡の主鏡は8.2メートルの大きさですが、これが1枚ものの鏡としての技術的限界だと言われており、その技術的限界を克服するためにTMTでは「分割鏡方式」を用います。現在最大級である主鏡8〜10メートルクラス望遠鏡からの飛躍的な大型化を実現するために、492枚の鏡で口径30メートルの主鏡を実現します。

TMTでできること(切り開く新たな宇宙像)

生命が存在する事のできる第二の地球型惑星を探す

近年、太陽以外の恒星の周りを公転する惑星が次々と発見され、さまざまな大きさや軌道の惑星が存在することがわかってきました。最近は地球サイズの惑星も見つかるようになり、太陽系に似た惑星系も存在することがわかってきています。はたして「生命が存在する事のできる第二の地球型惑星は存在するのか」、これは人類共通の究極の疑問です。TMTは太陽系外の惑星に生命の兆候を探す観測に挑みます。

宇宙で最初に生まれた星や銀河を探る

現在の宇宙では、「宇宙の大規模構造」とよばれるように、無数の銀河が群れをなし、光に満ち溢れていることがわかっています。ところが宇宙の歴史の中でかつて星も銀河も生まれていない「暗黒の時代」があったこともわかっています。宇宙で最初の星と銀河がいつ、どのように誕生し、暗黒の時代からどのようにして現在のような宇宙の姿に移り変わっていったのか、その全貌をTMTが解き明かします。

誰も見たことのない宇宙の新しい姿を見る

ガリレオが初めて望遠鏡を夜空に向けて以来、望遠鏡の進歩とともに人類の宇宙に対する認識は何度も塗り替えられてきました。私たちの太陽系が、のちに天の川銀河とよばれるようになった星の大集団に属していることがわかったのが18世紀。天の川銀河の外に同じような星の大集団である銀河がいくつも存在することがわかったのは20世紀前半のことです。その後、大規模構造とよばれる無数の銀河の集まりや、銀河同士の衝突合体、宇宙膨張など激動する宇宙の姿が明らかになりました。そして21世紀、TMTは私たちの宇宙観だけでなく、生命観にも大きな変革をもたらすかもしれません。

TMT光学系の仕組み

TMTは水平方向と高度方向に駆動する経緯台式望遠鏡で、主鏡、副鏡、第3鏡を用いてつくられる焦点で観測を行います。スムーズな駆動により天体に望遠鏡を向け、正確に追尾する性能が必要になります。

天体からの光は主鏡で集められ、副鏡と第三鏡で反射されて、望遠鏡の両側に配置された観測装置に導かれます。望遠鏡頭頂部に設置される副鏡は直径3.1メートルの非球面凸面鏡、第三鏡は3.5メートル×2.5メートルの楕円形状をした平面鏡です。TMTの観測装置はどれも非常に大型になるため、観測ごとに交換することは困難です。そこで観測装置の配置は固定とし、第三鏡の方向を精密に制御することにより、観測に用いる装置を素早く効率的に切り替えることが可能となります。

TMTの諸元

TMTは水平方向と高度方向に駆動する経緯台式望遠鏡で、主鏡・副鏡・第3鏡でつくられる焦点(ナスミス焦点)で観測を行います。観測装置は望遠鏡の両側(ナスミス台)に配置されます。ひとつひとつの観測装置も大型になるので、使用する装置の切り替えは、装置を固定したまま第3鏡の向きを変えることにより行います。観測可能な視野(15分角)は、満月の視直径の約半分です。

TMTの初期観測装置

初期の観測装置として以下の3つが計画されています。

① 近赤外線撮像分光装置(IRIS)

波長0.8~2.4μmの近赤外線の領域で補償光学により回折限界の解像度を実現し、撮像・面分光観測を行う装置。

② 広視野可視撮像分光装置(WFOS)

1μmまでの可視光の波長で、大望遠鏡としては広い視野(9.6分角×4.2分角)で多天体分光観測を行う装置。波長分解能は最大8000。

③ 近赤外多天体分光器(IRMS)

波長0.9~2.5μmの近赤外線の領域で、約2分角の視野内で多天体分光観測を行う装置。波長分解能は最大約5000。

※初期観測装置に続いて、多彩な観測を実現するための装置が順次製作される予定です。

主鏡が大きくても軽量、コンパクトに

主鏡が大きくなれば、望遠鏡本体の構造も大型化する必要があります。TMTは直径比ですばる望遠鏡の3.6倍もの大きさの主鏡を持ちますが、それに併せて望遠鏡構造を大型化してしまうと体積比で約50倍もの望遠鏡本体構造が必要となってしまい、莫大な建築コストが必要になってしまいます。これを最小限に留めるため、TMTでは主鏡の焦点距離を短く、望遠鏡全体ができるだけコンパクトになるように設計されています。

また、ハワイ諸島は大きな地震は少ない地域にありますが、大型精密機械である望遠鏡にとって地震は大きな脅威となります。軽量でかつ地震に耐えられるような望遠鏡の技術開発、基本設計が進められています。 さらに、分割鏡の基本設計は望遠鏡全体の軽量化にも大きく貢献しています。分割鏡の大きさは対角長1.44メートル、厚みは4.5センチメートルですが、これは8.2メートルの大きさのすばる望遠鏡の主鏡の厚さの4分の1以下です。その結果、TMTの主鏡をすばる望遠鏡の主鏡と比較した場合、面積比でいえば13倍に相当しますが、重量比では4倍程度にとどまります。現在の設計では水平方向に回転する望遠鏡部全体で2000トン余となり、これはすばる望遠鏡(550トン)の約4倍に抑えられています。

望遠鏡を守り、観測環境を制御するための望遠鏡ドームもできるだけコンパクトになるように工夫されています。特にドームは望遠鏡に対する風の影響を最小限に抑えることが重要であり、そのために直径30メートル余のシャッターが開閉する構造になっています。ドーム全体の水平回転とシャッターを含む帽子型構造の斜め方向への回転を組み合わせることで、望遠鏡が向く方向にだけ円形の開口が向く仕組みになっています。

超大型望遠鏡を支えるテクノロジー

対角長1.44メートル、それぞれわずかに表面形状が異なる82種類の分割鏡を一つのセクタとし、6セクタを組み合わせ、計492枚の分割鏡でTMTの主鏡は構成されています。これに交換用の鏡が1セクタ分準備されるので、合計で82(種類)×7(セクタ)=574枚の分割鏡を製作する必要があります。

主鏡全体が放物面に近い双曲面になるように、82種類の分割鏡はそれぞれ非球面形状に研磨加工されますが、そのとき研磨精度は約10ナノメートル(10億分の1メートル)程度の加工・計測技術が要求されます。これは例えるならば、北海道の面積に対して髪の毛一本分の凹凸も許されない水準であり、非常に精度の高い研磨技術が必要となります。

このように精密に研磨された鏡も、天体観測中にその自重によってどうしても形状が歪んでしまいます。その歪みを防ぐため、主鏡全体の形状が常に適切なものとなるように調整する仕組みが必要です。それがアクチュエータの役割です。分割鏡はそれぞれ裏側から中心の1点とそれ以外の27点で支持されており、その歪みは21個のアクチュエータで調整されます。また、隣接する分割鏡との間に設置される12個のセンサーの信号に基づき、ミラー全体を動かすことができる3つのアクチュエータによって、分割鏡ごとの相互位置関係がリアルタイムで制御されます。このような補正技術によって、492枚の分割鏡が1枚の大きな鏡として機能する仕組みを実現します。

TMTの能力を極限まで引き出す補償光学

望遠鏡の解像度(より細かい構造を見分ける性能)は口径が大きくなるほど高くなります。しかし地上望遠鏡による観測では大気のゆらぎにより星像が乱されてしまい、シャープな画像を得ることができません。巨大な主鏡を活かした高解像度での観測を行うためには、大気のゆらぎの影響を補正する補償光学技術が不可欠です。TMTで補償光学を用いると、その解像度はハップル宇宙望遠鏡の10倍以上、すばる望遠鏡のおよそ4倍になります。解像度が高まると、より細かい構造が見分けられるようになるだけでなく、画像がシャープになることでより暗い天体を検出する事が可能になります。

補償光学には星像の乱れを補正するため、その基準となる「ガイド星」が必要です。TMTには、レーザーで大気中のナトリウム層を照射して人工的にガイド星を生成する装置が搭載されます。望遠鏡のトップエンド(下図参照)から上空に向けレーザーを照射すると、約90キロメートル上空にあるナトリウム層にレーザーが当たり、その部分が光ることで人工的な星像「レーザーガイド星」を作り出します。レーザーガイド星を用いることで、本来ガイド星のない天域にでも補償光学技術を生かした観測ができるようになります。また、複数のガイド星を用いて、比較的広い視野にわたって高精度の補正を行う補償光学装置の製作も進められています。

塗り替えられていく「激動する宇宙」の姿

望遠鏡の進歩とともに私たちの宇宙の認識は変化していきます。

18世紀の人々にとっては天の川銀河が宇宙のすべてであり、それよりも外側に広がる広大な世界の事など思いもよりませんでしたが、現在私たちは、宇宙の膨張や、銀河同士の衝突合体など、長い歴史のなかで宇宙がその姿を大きく変えてきた事を知っています。このような「激動する宇宙」の姿が TMT の登場によって、塗り替えられていくことでしょう。

© kyoko Kanekawa / honyaplan inc.

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